トランクルームを始めるための初期費用は300万円からといわれることが多いですが、これは物件の規模によって異なります。沢山部屋を作れば作るほど初期費用が高くなります。対象となる土地が広いほど、ビルの広さが広いほど費用が高くなります。土地や敷地の形状によって最適なトランクルーム設置方法はありますが平均的な数値を出すと屋外型で10坪当たりの投資額は約150万円、屋内型で10坪当たりの投資額は約130万円が目安となります。トランクルームをスタートするうえで企業と個人によって投資規模は異なりますが、最初の1現場でれば屋外、屋内共に約30坪くらいのスペースからスタートするのが最小希望なので単価をかけて300万円からという表現が見られます。
屋外型トランクルーム(コンテナ)初期費用事例 | |
---|---|
利用面積 | 約30坪 |
初期費用 | トランクルームコンテナ3基購入150万円×3基=450万円 |
その他費用 | 看板等30万円 運搬設置、基礎、確認申請費用等本体に込み |
ライフライン | 電気、水道等基本なし。アルソック等セキュリティも屋外は基本なし |
屋内型トランクルーム(ビルイン)初期費用事例 | |
---|---|
利用面積 | 約30坪 |
初期費用 | トランクルーム部材 面積30坪×13万=390万円 |
その他費用 | 看板等30万円 鍵、セキュリティ等30万円、運搬設置、基礎、確認申請費用等本体に込み |
ライフライン | 電気代が必要月2000円~。アルソック等セキュリティ費用 |
トータルはどちらも同じくらいの金額なります。運営業者によってはこれ以外にFC加盟金や諸経費等が必要なケースもあります。また室内型トランクルームではセキュリティ費用が月額1万円~必要になりランニング経費がかかる場合があります。その分、貸出単価も屋内型のほうが少し高くなります。もちろん面積が広くなればなるほど割安にはなりますが、トランクルーム現場で室数が多い、広すぎるというのは短期的にみると投資効果として悪くうつることが多いです。新築のアパートや戸建ては場所がそこそこよければ竣工と同時に満室といったケースも見受けられますがトランクルームは不思議なことにある一定のペースで利用者が増え続けることが多く、開店と同時に満室といったケースは稀なのが現状です。
失敗の定義をどこに置くかで見方は変わりますが、トランクルーム投資のリスクや失敗事例をあげるとするとやはり稼働が 上がるかどうかがほとんどの要因です。30部屋あるトランクルームが1年で満室なると想定し、これを成功ととらえる方もいれば失敗ととらえる方もいます。一旦稼働が上がるとある程度安定するのがトランクルーム経営の魅力ですが、この高稼働までの時間を失敗ととらえるかどうかの判断材料にする人が多いようです。トランクルームの利用者の中には短期で利用、すなわちすぐに退去する人も多いため、常に安定して新規入居者をとりつづけなければ稼働はあがりません。事前の説明や事例をもとにレントロールのペースを理解しながらスタートすれば資金的にも問題ありませんが、やはりコンテナなトランクルーム部材の仕入れ、投資に対して返済がスタートすることを考えると初年度はキャッシュフローでもマイナスになることを想定してはじめるのがトランクルームの見えないデメリットかもしれません。
所有地 30坪
投資額 450万円
室数 14部屋
満室 14万円
月間契約純増数 1件(郊外での比較的良い平均値)だとすると
1か月目 収入1万円
2か月目 収入2万円
・
・
12か月目 収入12万円
1年かかってやっと満室近くに到達するため1年目の家賃収入を満室14万円×12か月で計算することは決してできません。
またそれぞれの金融手法によりますがここに借り入れの返済や管理委託先への委託料を支払うと1年目はほとんど手元に現金が
残らないのが想像できると思います。
1年目はほとんど手元に現金が残らない
40坪は約130ヘーホーメートル。土地が長方形だと仮定すると間口10m(道路に接道している長さ)奥行が13mとなります。コンテナは10坪に1基が目安になるのでこの場合4基を設置できることになります。コンテナは2.5m×6mの大きさなのでちょうど駐車場1台分と少しの大きさです。例にあげた40坪の土地にもいろんな配置が考えられますが、利用者の使い勝手や認知性を考えると効率的な配置は限られてきます。図のように通路を真ん中に作ることで奥の部屋でも車でシャターの前まで荷物を持っていけるため大きな荷物や重い荷物を入れる利用者にとって選んでももらいやすいトランクルームになります。
所有地 40坪
投資額 初期費用約650万円 内訳 600万円(150万×4基)+地盤整地費用50万(通路部分)
室数 16部屋
満室 16万円
月間契約純増数 1件(郊外での比較的良い平均値)だとすると
1部屋平均貸出単価 1万円 16万円満室賃料16部屋のため
部屋割り例 1基目 2帖通常タイプ 10000円、合計40000円
部屋割り例 2基目 2帖バイクタイプ 10000円、合計40000円
部屋割り例 3基目 1.5帖通常 8000円、合計40000円
部屋割り例 4基目 2.6帖通常 13500円、合計40500円
1か月目 収入1万円
2か月目 収入2万円
・
・
12か月目 収入12万円
13か月目 収入13万円
14か月目 収入13万円
16部屋中13部屋の契約、稼働率にして約80%を超えると、収入や稼働が安定してきます。短期の割引で契約した利用者の解約や新規契約等で部屋の空き室が3室になるとその部屋にぴったりの利用者が契約になる確率が下がるためOPEN当初のような稼働アップをコンスタントに得ることが難しくなります。例えば2帖タイプが満室であっても2帖タイプ希望の利用者はそれよりも広い、高い、狭い部屋を借りるケースは成約率が低くなるためです。
業者に運用を任せる際は月々管理料が必要です。管理料もケースによりますが、満室賃料の5%が固定でかかるケースや入金収入の10%となるケースなどがあります。ここでは16万円満室×5%=月間管理料8000円、年間管理料96000円として計算します。
1年目収入 68.4万円=78万円(1万円+2万円+3万円+・・・+12万円)-96000円(年間管理料)
2年目収入 134.4万円=144万円(12万円×12か月)稼働率約80%-96000円(年間管理料)
3年目収入 134.4万円=144万円(12万円×12か月)稼働率約80%-96000円(年間管理料)
・
・
5年目間累計収入 606万円
投資額 650万円
所有地が専門業者の査定で通常に運営できる場所だという前提ではありますが、コンテナ投資は単純計算で約5年で回収することができます。利回り計算をする際は満室賃料で表面利回りを計算するためこの例では下記となります。実際には月1件の成約ペースを維持するため、また近隣他社との競合勝負のために割引等の対策をとることが多いのでキャッシュフロー上のトランクルーム初期投資額の回収は約6年と想定しておくほうがよいです。
投資額 600万円(150万×4基)+地盤整地費用50万(通路部分)
満室 16万円
年収 192万円
表面利回り 29%
となりますが、管理費が必要なことや1年目の収支がゆるやなか増収のためそのまま29%という数値はあてはまりませんが、よくみかける20%以上という数値は2年目以降を見ると実際に実現できる成績といえます。
40坪の土地をトランクルーム用地として借り上げるとき、様々な条件がありますが収支に影響する地代のベースは坪1000円で計算します。エリアや駅からの近さ様々な条件がありますがこれくらいの坪単価の土地を借りれるという条件がトランクルーム運営のベースとなります。
投資額 650万円
満室 16万円
地代 4万円(40坪×坪単価1000円)
年収 144万円 うちわけ192万円-48万円(地代)
表面利回り 22%
となりますが、管理費が必要なことや1年目の収支は地代の発生もあり上記事例で実際は68.4万円から地代の48万をマイナスすると20万円とほとんど手元には残りません。初期費用等の割引をして競合と利用者を取り合った場合は初年度はマイナスになるケースもあります。
地代を4万円で借りれたとして上記の入金ベースでの
1年目収入 20.4万円=78万円(1万円+2万円+3万円+・・・+12万円)-96000円(年間管理料)-地代48万円
2年目収入 86.4万円=144万円(12万円×12か月)稼働率約80%-96000円(年間管理料)-地代48万円
3年目収入 86.4万円=144万円(12万円×12か月)稼働率約80%-96000円(年間管理料)-地代48万円
・
・
8年目間累計収入 625.4万円
投資額 650万円
となり、実際に投資額を回収するには9年弱かかることになります。この時途中で借地を地主側から解約されてしまうと事業がプラスに転じる前にコンテナを撤去しなくてはいけなくなるため、土地の契約は基本10年を初回契約年数に設定することが大切です。もちろん相続を含む様々な事情で土地を明け渡さなくてはいけないケースも想定できますので短期解約には違約をつける等の注意が必要です。